*仕置き
・イベント「秀次事件」後、おじさんが三成へお仕置きしに行く話。
・おじさんが黒いです
・R-18指定
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襖を細めに開けると、闇がそこかしこにわだかまっていた。
書簡の山の中で一つの影が動いた。
糊のきいた小袖を纏った三成が仄暗い灯りを頼りに黙々と筆を執っている。
容赦しないからねェ。おじさん、性格悪いから。
柳生は口元に不吉な黒い影を刻むと、闇に乗じて、背後から三成の口を塞いだ。
同時に短檠の灯りを受けて赤々と染まる喉元へ短刀の切っ先をあてがう。
「………っ!」
「しー、静かに」
この刻限になると、三成は人払いをしてしまう。
周囲に人気がないとはいえ、主が叫べば近習どもは刀を握り締めて津波の勢いで攻め込んでくるだろう。
面倒事も血を見るのも御免だ。
柳生は、鋭利な先端を滑らかな皮膚に当てたまま、華奢な体躯を組み敷いた。
触るな、外道! そう言いたげな三成の厳しい視線を、柳生は底知れぬ怨恨の視線で撥ね返しつつ、ドスを利かせた声を吐き出した。
「秀次の件」
細い眉がぴくりと動いた。
豊臣秀次。
豊臣家の後継者であった秀次は、秀吉から関白の地位を譲られていたが、謀反の疑いと悪逆無道な振る舞いの罪により刑場の露と消えた。だが、その真相は秀吉の独裁力と政治統制の強化を図るためだと柳生はみている。
事件に乗じて、秀次を懇意にしていた大名たちが次々に粛正され、秀吉を頂点とした政権が再構築されたのだから。
「おじさんねェ、凄ぉく、怒ってるんだ。秀次様はおじさんたちの恩人だったからねェ」
失領した柳生が一家離散に陥らずに済んだのは、秀次が百石の扶余をくれたおかげだ。
その秀次の死後、秀次の妻たちは京の三条河原へ引きずり出され、ことごとく斬られ、死骸は河原の隅に掘られた大穴に放り込まれた。その中には柳生の古くからの知人がいた。
秀吉による中央集権を盤石にするために恩人は生贄となり、旧知の間柄である女性は屑のように捨てられた。
くたばれ、秀吉!
肉を焦がすほどの激昂は、当然、秀吉へ向けられた。
だが。
「天下人をとっちめることはできんからねェ。かわりに、猿の側にいる僕を仕置きすることにしたのさァ。主の身代わりになるのも家臣の役目だよねェ」
水で清めたように澄みきった美貌を踏みにじれば、この憎悪も少しは鎮まるだろう。
……それだけではない。
三成を痛めつけることには、もっと大きな意味がある。
「んー? どうしたのかなァ? 大人しくなっちゃって」
三成の体からふっと力が抜けた。全力で抵抗してくるだろうと予想していたのだが、どうしたものか。
三成の態度に不審感を抱いた柳生はそっと口から手を離してやった。
「かまわん。俺を好きにしろ」
意外な言葉に柳生は耳を疑った。
一切、抵抗しないだと。
「そのかわり、秀吉様を恨むな。いいな」
ギリッ。立て続けに重ねた言葉に、柳生は砕けんばかりに奥歯を噛みしめる。
もともと三成のことを忌み嫌っていたが、猿への忠義心に厭忌の情を深めた。
「ほんと、僕は人を不愉快にさせる名人だよ」
柳生は嫌み呟くと、机の上の筆を手に取った。
訝しげにこちらを見据える三成へ、柳生は悪意に満ちた笑みを示しながら、硬い毛先をちょんちょんと指先で突く。
加減などしてやらぬ。
「んん――――――っ!」
ぬらぬらとてかる肉棒の裏筋を数百本の硬い毛先がつつーと走ると、全身に痙攣のさざ波が立った。
まるで、雷が直撃した蛙だ。
「僕ゥ、声を出したければ出していいよォ。ほら、無理しないで」
近習共に、この姿を見られちゃうけどねェ。
血が滲むほど手の肉に歯を立てて懸命に声を押し殺す三成へ悪意に満ちた声を注げば、怒り漲る瞳でねめつけられた。
「んー。まだまだ苛め足りないようだねェ。じゃぁ、次はここだ」
可哀そうなほど真っ赤に熟れた亀頭を穂先が捉えた。
快楽に耽溺してしまうことを恐れたのだろうか、大粒の汗が浮かぶ顔に焦燥が走る。
不屈を誇る男の恐れ慄く姿に柳生の怒りが煙のように四散してゆく。
だが、まだだ。
「―――――――――――っ!!!」
蜜口に穂先を突き刺せば、透明な蜜がどっと溢れ出した。
強弱緩急交えて嬲れば、傘がますます張り出し、肉棒はピクピクと打ち震えながら粘り気のある蜜を絶え間なく垂れ流し続ける。
「……あ、あぅ……っ」
三成の視線が虚空を彷徨う。数刻に及ぶ凌辱に理性が瓦解したようだ。
そろそろか。
柳生は筆を放り投げると、紅潮した端正な顔を眺めながら、腫れた蜜袋を揉みしだき、蜜まみれの肉棒を激しく扱いた。三成は髪を振り乱して悦び、そして
「……イ、イク………」
ドクン。
柳生は、怒濤のように押し寄せてくる本流を肌に感じるや、肉筒をぎゅっときつく握り締め、噴射を求めて駆け上がってきた激流を体内に押し返してやった。
「ああっ!!!」
恍惚の表情は一瞬にして消え去り、三成は痛撃に歪む唇から苦痛の悲鳴を張り上げた。
直後、押し寄せてくる足音に哀れなほど顔から血の気が失せていく。
性の芳香が撒かれた室内に足を踏み入れた家臣共は侵入者に犯された主に瞠目するに違いない。
羞恥と憤慨に唇を噛みしめる三成の姿を思い描けば、柳生の肩頬は勝手に吊り上っていった。
「それじゃぁねェ。僕」
「あ……ぐぅ、き、貴様」
痛みに呻く三成を無視して、柳生はさっと襖を開けた。
「ああ、言い忘れてた」
その場で振り返ると、錐のような鋭い殺気を瞳に走らせ
「これからは、耄碌した猿の愚行を諌めるんだよォ。じゃないと、今度はもっと酷いことをするからねェ」
不吉な言葉を告げるや、星明りに白む廊下を、音を立てずに飛び越え、矢竹へ姿を消した。
「かまわん。俺を好きにしろ。そのかわり、秀吉様を恨むな。………かァ」
喧騒から遠く離れた、月のない伏見の夜空の下で柳生はぽつりと呟いた。
吐き気を催すほどの不快な言葉が耳の奥で渦巻いている。
不愉快な男の姿が柳生の胸の底で目が眩むほど輝いている。
「徳川の隠密が猿の懐刀に……燃える展開だねェ」
嘲笑は濃密な闇へ虚しく消えていった。
-終-
・おじさんが黒いです
・R-18指定
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襖を細めに開けると、闇がそこかしこにわだかまっていた。
書簡の山の中で一つの影が動いた。
糊のきいた小袖を纏った三成が仄暗い灯りを頼りに黙々と筆を執っている。
容赦しないからねェ。おじさん、性格悪いから。
柳生は口元に不吉な黒い影を刻むと、闇に乗じて、背後から三成の口を塞いだ。
同時に短檠の灯りを受けて赤々と染まる喉元へ短刀の切っ先をあてがう。
「………っ!」
「しー、静かに」
この刻限になると、三成は人払いをしてしまう。
周囲に人気がないとはいえ、主が叫べば近習どもは刀を握り締めて津波の勢いで攻め込んでくるだろう。
面倒事も血を見るのも御免だ。
柳生は、鋭利な先端を滑らかな皮膚に当てたまま、華奢な体躯を組み敷いた。
触るな、外道! そう言いたげな三成の厳しい視線を、柳生は底知れぬ怨恨の視線で撥ね返しつつ、ドスを利かせた声を吐き出した。
「秀次の件」
細い眉がぴくりと動いた。
豊臣秀次。
豊臣家の後継者であった秀次は、秀吉から関白の地位を譲られていたが、謀反の疑いと悪逆無道な振る舞いの罪により刑場の露と消えた。だが、その真相は秀吉の独裁力と政治統制の強化を図るためだと柳生はみている。
事件に乗じて、秀次を懇意にしていた大名たちが次々に粛正され、秀吉を頂点とした政権が再構築されたのだから。
「おじさんねェ、凄ぉく、怒ってるんだ。秀次様はおじさんたちの恩人だったからねェ」
失領した柳生が一家離散に陥らずに済んだのは、秀次が百石の扶余をくれたおかげだ。
その秀次の死後、秀次の妻たちは京の三条河原へ引きずり出され、ことごとく斬られ、死骸は河原の隅に掘られた大穴に放り込まれた。その中には柳生の古くからの知人がいた。
秀吉による中央集権を盤石にするために恩人は生贄となり、旧知の間柄である女性は屑のように捨てられた。
くたばれ、秀吉!
肉を焦がすほどの激昂は、当然、秀吉へ向けられた。
だが。
「天下人をとっちめることはできんからねェ。かわりに、猿の側にいる僕を仕置きすることにしたのさァ。主の身代わりになるのも家臣の役目だよねェ」
水で清めたように澄みきった美貌を踏みにじれば、この憎悪も少しは鎮まるだろう。
……それだけではない。
三成を痛めつけることには、もっと大きな意味がある。
「んー? どうしたのかなァ? 大人しくなっちゃって」
三成の体からふっと力が抜けた。全力で抵抗してくるだろうと予想していたのだが、どうしたものか。
三成の態度に不審感を抱いた柳生はそっと口から手を離してやった。
「かまわん。俺を好きにしろ」
意外な言葉に柳生は耳を疑った。
一切、抵抗しないだと。
「そのかわり、秀吉様を恨むな。いいな」
ギリッ。立て続けに重ねた言葉に、柳生は砕けんばかりに奥歯を噛みしめる。
もともと三成のことを忌み嫌っていたが、猿への忠義心に厭忌の情を深めた。
「ほんと、僕は人を不愉快にさせる名人だよ」
柳生は嫌み呟くと、机の上の筆を手に取った。
訝しげにこちらを見据える三成へ、柳生は悪意に満ちた笑みを示しながら、硬い毛先をちょんちょんと指先で突く。
加減などしてやらぬ。
「んん――――――っ!」
ぬらぬらとてかる肉棒の裏筋を数百本の硬い毛先がつつーと走ると、全身に痙攣のさざ波が立った。
まるで、雷が直撃した蛙だ。
「僕ゥ、声を出したければ出していいよォ。ほら、無理しないで」
近習共に、この姿を見られちゃうけどねェ。
血が滲むほど手の肉に歯を立てて懸命に声を押し殺す三成へ悪意に満ちた声を注げば、怒り漲る瞳でねめつけられた。
「んー。まだまだ苛め足りないようだねェ。じゃぁ、次はここだ」
可哀そうなほど真っ赤に熟れた亀頭を穂先が捉えた。
快楽に耽溺してしまうことを恐れたのだろうか、大粒の汗が浮かぶ顔に焦燥が走る。
不屈を誇る男の恐れ慄く姿に柳生の怒りが煙のように四散してゆく。
だが、まだだ。
「―――――――――――っ!!!」
蜜口に穂先を突き刺せば、透明な蜜がどっと溢れ出した。
強弱緩急交えて嬲れば、傘がますます張り出し、肉棒はピクピクと打ち震えながら粘り気のある蜜を絶え間なく垂れ流し続ける。
「……あ、あぅ……っ」
三成の視線が虚空を彷徨う。数刻に及ぶ凌辱に理性が瓦解したようだ。
そろそろか。
柳生は筆を放り投げると、紅潮した端正な顔を眺めながら、腫れた蜜袋を揉みしだき、蜜まみれの肉棒を激しく扱いた。三成は髪を振り乱して悦び、そして
「……イ、イク………」
ドクン。
柳生は、怒濤のように押し寄せてくる本流を肌に感じるや、肉筒をぎゅっときつく握り締め、噴射を求めて駆け上がってきた激流を体内に押し返してやった。
「ああっ!!!」
恍惚の表情は一瞬にして消え去り、三成は痛撃に歪む唇から苦痛の悲鳴を張り上げた。
直後、押し寄せてくる足音に哀れなほど顔から血の気が失せていく。
性の芳香が撒かれた室内に足を踏み入れた家臣共は侵入者に犯された主に瞠目するに違いない。
羞恥と憤慨に唇を噛みしめる三成の姿を思い描けば、柳生の肩頬は勝手に吊り上っていった。
「それじゃぁねェ。僕」
「あ……ぐぅ、き、貴様」
痛みに呻く三成を無視して、柳生はさっと襖を開けた。
「ああ、言い忘れてた」
その場で振り返ると、錐のような鋭い殺気を瞳に走らせ
「これからは、耄碌した猿の愚行を諌めるんだよォ。じゃないと、今度はもっと酷いことをするからねェ」
不吉な言葉を告げるや、星明りに白む廊下を、音を立てずに飛び越え、矢竹へ姿を消した。
「かまわん。俺を好きにしろ。そのかわり、秀吉様を恨むな。………かァ」
喧騒から遠く離れた、月のない伏見の夜空の下で柳生はぽつりと呟いた。
吐き気を催すほどの不快な言葉が耳の奥で渦巻いている。
不愉快な男の姿が柳生の胸の底で目が眩むほど輝いている。
「徳川の隠密が猿の懐刀に……燃える展開だねェ」
嘲笑は濃密な闇へ虚しく消えていった。
-終-
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