惹かれ -1-
・高虎×三成です。
・R-18指定になっていきます。
・四国征伐。高虎と使者としてやってきた三成は険悪な状態だったが……。そんなお話です。
共を従えて、馬を進める三成のその瞳は鋭かった。
緑豊かな木々の隙間から差し込む陽射しが眩しかったからではない。
高虎のせいだ。
一刻ほど前、三成は秀吉の使者として四国の秀長の陣へ足を踏み入れた。
一宮城の攻略の遅れを取り戻すため、秀吉様が親征する。
その旨を告げられた秀長は反論しようと唇を割った。だが、三成は反駁を許さなかった。
段取りは秀吉様がお決めになる。余の者が勝手に口を出していいものではございますまい。
無礼ではないか!
三成が言葉を発した直後、秀長の側に控えていた高虎が声を張りあげた。
奴の主張からすると、秀吉の血縁者である秀長を、三成が蔑ろにしたらしい。
だが、三成には心当たりが微塵もなかった。
結局、秀長の取り成しでその場は治まったが、三成の胸には不快感が溜まったままだ。
……俺は奏者としての務めを果たしただけだ。至らぬところはない。
むしろ、問題があるのは奴のほうではないか。
陪臣の身で秀吉様の代理である俺にくってかかるとは、身の程を知らぬのか。
腹立たしさに唇を噛んだときだった。
「あぐぅっ!」
背後から上がった呻き声に三成の思考の糸はふつりと切れた。
馬首を翻すと、そこには、首に突き刺さった矢にもがき苦しむ味方の姿があった。
三成は瞬時に鉄扇を抜き取ったが、見方はその身に次々と矢を受け、
生々しい鮮血を撒き散らしながら馬から転げ落ちる。
三成は矢が飛来する方向へ視線を投げたが、敵影を発見することはできなかった。
突如、けたたましい嘶きをあげた馬に地面へ叩きつけられたのだ。
咄嗟に、受け身を取ったものの、肩に鈍痛が走って、唸り声を漏らす。
右肩を押さえながら顔を上げれば、そこには、捲れ上がった唇から血泡を垂れ流す馬の姿があった。
毒矢に射られたのだと理解した、その転瞬、三成の視界が一変した。
入道雲が浮かぶ青い空を背景に小汚い男たちが癪に障るような下品な笑みを口元に浮かべていた。
「貴様らは長宗我部の手下か?」
「ああ、そうさ。偵察に来てみりゃ、猿んとこのあんたを見つけたってわけさ。
あんたの首なら、たんまりと礼が貰える。……と、その前に」
「おい! 何をする!」
下衆共は嗜虐的な笑みを浅黒い顔に貼り付けたまま、三成の手足を押さえつけた。
まさか、と不吉な予感が三成の背筋を駆け巡った。そしてその予感は的中した。
下衆共は戦場焼けした無骨な手で三成の襟元を掴むや、
力任せに剥ぎ取り、露わになった胸を無遠慮にまさぐりはじめたのだ。
-続-
・R-18指定になっていきます。
・四国征伐。高虎と使者としてやってきた三成は険悪な状態だったが……。そんなお話です。
共を従えて、馬を進める三成のその瞳は鋭かった。
緑豊かな木々の隙間から差し込む陽射しが眩しかったからではない。
高虎のせいだ。
一刻ほど前、三成は秀吉の使者として四国の秀長の陣へ足を踏み入れた。
一宮城の攻略の遅れを取り戻すため、秀吉様が親征する。
その旨を告げられた秀長は反論しようと唇を割った。だが、三成は反駁を許さなかった。
段取りは秀吉様がお決めになる。余の者が勝手に口を出していいものではございますまい。
無礼ではないか!
三成が言葉を発した直後、秀長の側に控えていた高虎が声を張りあげた。
奴の主張からすると、秀吉の血縁者である秀長を、三成が蔑ろにしたらしい。
だが、三成には心当たりが微塵もなかった。
結局、秀長の取り成しでその場は治まったが、三成の胸には不快感が溜まったままだ。
……俺は奏者としての務めを果たしただけだ。至らぬところはない。
むしろ、問題があるのは奴のほうではないか。
陪臣の身で秀吉様の代理である俺にくってかかるとは、身の程を知らぬのか。
腹立たしさに唇を噛んだときだった。
「あぐぅっ!」
背後から上がった呻き声に三成の思考の糸はふつりと切れた。
馬首を翻すと、そこには、首に突き刺さった矢にもがき苦しむ味方の姿があった。
三成は瞬時に鉄扇を抜き取ったが、見方はその身に次々と矢を受け、
生々しい鮮血を撒き散らしながら馬から転げ落ちる。
三成は矢が飛来する方向へ視線を投げたが、敵影を発見することはできなかった。
突如、けたたましい嘶きをあげた馬に地面へ叩きつけられたのだ。
咄嗟に、受け身を取ったものの、肩に鈍痛が走って、唸り声を漏らす。
右肩を押さえながら顔を上げれば、そこには、捲れ上がった唇から血泡を垂れ流す馬の姿があった。
毒矢に射られたのだと理解した、その転瞬、三成の視界が一変した。
入道雲が浮かぶ青い空を背景に小汚い男たちが癪に障るような下品な笑みを口元に浮かべていた。
「貴様らは長宗我部の手下か?」
「ああ、そうさ。偵察に来てみりゃ、猿んとこのあんたを見つけたってわけさ。
あんたの首なら、たんまりと礼が貰える。……と、その前に」
「おい! 何をする!」
下衆共は嗜虐的な笑みを浅黒い顔に貼り付けたまま、三成の手足を押さえつけた。
まさか、と不吉な予感が三成の背筋を駆け巡った。そしてその予感は的中した。
下衆共は戦場焼けした無骨な手で三成の襟元を掴むや、
力任せに剥ぎ取り、露わになった胸を無遠慮にまさぐりはじめたのだ。
-続-
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