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*帝光黄黒の日

・少し早いのですが、諸事情により早めにUPしました。
・軽くですが性描写があります。
・バッドエンドです。黄瀬が可哀想です。






光を失って、弱っていたその隙を狙った。
彼はオレと付き合ってくれた。
分かってる。寂しさ、虚しさを埋めるためだ。
それでもいい。彼と一緒に居られれば。
 
あの細い身体を何度も抱いたけれど、彼からキスをしてくれたことは一度もなかった。
ぬくもりを独り占めしているのに、一つになっているのに、心の底に冷たい水が溜まっていく。
一緒に居られれば、それだけで充分だと思っていたけれど、辛かった。
 
「黄瀬くんっ! んああ! あ、あ、ああ!!」
彼は細い腰を沈めて、オレの雄を呑み込んだ。
脳髄にまで満ちる悦にオレの唇から喘ぎ交じりの吐息が洩れた。
その呼吸を奪ったのは柔らかな感触だった。
 
「ん……ふ……」
熱い吐息が頬を撫で、弾力のある何かがオレの唇を啄む。
 
キス。
 
「黒子っち……あ、嘘……ん……」
どうして? 
問いかけを最後まで言うことはできなかった。
彼の舌がオレの舌と戯れ始めたからだ。
彼は舌先を官能的に操りながら腰を振って、オレの雄を貪りだした。
 
もしかしたら、好きになってくれたのかな? 
オレの意志を離れて、笑みと涙が同時に溢れ出た。
嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
気持ち悪いと自分でも思ったけれど、情熱を堰き止めることはできなかった。
こんなオレをどう思っただろうと彼の顔を覗けば、彼は静かに微笑みを返してくれた。
 
その夜は我を忘れて彼を抱いた。何度も何度も。彼が壊れるくらいその体を貫いた。
一つになれたんだ。望んだ形で。また、涙が零れた。
これで恋人になれたんだ。これから幸せな毎日を過ごせるんだ。
そう期待したけれどそれは幻想に終わった。

目が覚めると彼は消えていた。
 
連絡を入れたけれど、すぐに機械の音声に切り替わった。
部室、図書室、教室、マジバーガー。心当たりを全て回ったが、彼はどこにもいなかった。
 
部活も辞めてしまっていた。
 
どうして? なんで? 

……「黒子っち」

何ですか? 黄瀬君……。

朝凪のように静かな声は返って来ない。

何度も、その名前を呼ぶけれど、返事は無かった。
 
呼べば呼ぶほど、不安と孤独感が蓄積してゆく。
 
「くろごぉっぢぃぃぃ」
 
ついに耐え切れなくなって、みっともない嗚咽を上げた。
上げながら彼の名を口にしたけれど、やはり返事は無い。
鼓膜に届くのは喧しいオレの声だけ。

黄瀬くん……

澄んだ声が耳の奥に残っている。
柔らかな髪の感触が指に残っている。
キスの感触が唇に残っている。


けれど、姿はない。


彼は影のように消失してしまった。
その存在をオレの体に焼きつけて。








-End-
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