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青峰誕生祝い

・遅れましたが、青峰君誕生日祝い小説です。
・R-18です。
・誤字脱字が許せる人向けです。
 
 



 
 
 
 
 
 
 

「……テツ」

肩で息をしていると、熱を孕んだ荒い呼吸に耳朶を撫でられた。
瞼を開ければ、そこには汗の転ぶ浅黒い顔があった。
吐息が重なり合うほどの至近距離で鋭く切れ上がった目が細まる。

「やっぱ、ねぇわ」
「え?」


何の話だろうと、疑問の声を発したが、掻き消されてしまう。
覆い被さってきた青峰に唇を奪われた。
それは深いものではなく、戯れ程度のものだったけれど、
触れられた箇所から快楽が波状に広がって、
吐き出したばかりだというのに体は熱を持ち始めてしまう。
淡泊なほうだったのに、随分貪欲な肉体になったものだ。

「欲しいもの、聞いてきただろ?」

数え切れぬほど啄んでいた唇を離すと、
青峰はこつんと音を立てて汗ばむ額と額をくっつけた。
三日ほど前だっただろうか、青峰の誕生日が近いからリクエストを聞いた。
こういうのは本人に聞いてしまってはつまらないものだと分かっていたが、
彼の欲しいものをプレゼントしたかった。

「考えたけどよ、なかったわ。
欲しかったものはお前がWCでくれたし。
まぁ、まだまだ満足するもんじゃねーけど」

口角を上げた、その表情には、暴君である不遜さも猛禽類のような気迫さもなかった。
あるのは嬉々の色だ。
その色は彼を孤独の闇から救い上げてやれたのだと改めて実感させ、
黒子の口元を綻ばせた。

「……それに」

視線を上げると真剣な眼差しと視線が絡んだ。
真っ直ぐ見つめてくる紺碧の双眼に、思わず見入った。
けれど、真摯さを湛えたその瞳は視界から消えてしまう。
短髪の頭を黒子の首筋に埋めて

「テツいるし」
低い声で耳朶を擽った。
何てことを言うのだろう。

「あ、チンコ勃った。……あぐっ!」

脇腹目がけてイグナイトをかました。
誰のせいでこうなったと思ってるんだ。
囁かれただけで勃起してしまって情けないのに、
追い打ちを掛けるように恥ずかしいことを口にしないで欲しい。
ゴロンと仰向けになって痛撃に悶えるデリカシーの無い男へ
黒子は視線もやらずにベッドから降りた。

「おい、テツ! どこ行くんだよ。オナニーか?」

風呂場へ足を向けた黒子の腕を掴んだのは、尾を引く痛みに顔を顰める青峰だった。

「違います。離してください」

背を向けたまま返した。振り返らなくても分かる。
青峰はきっと意地悪な笑みを浮かべているに違いない。
悔しかったから黒子は否定したけれど、青峰の見解は当たっていた。

青峰に散々可愛がられたというのに、
そこは青峰によってすっかり硬く張り詰めてしまっている。
体は熱を持て余しているし、このままでは辛い。
かといって青峰にねだりたくなかった。
男としてのプライドがあるし、それに彼はますます調子に乗るだろうから。

「何が違うんだよ」
「ちょっ、何するんですか!」

手を振り払おうとするよりも早く、
ベッドへ引きずり込まれ、背面座位へと持ち込まれた。
太腿に手が掛かって、
まさかと青峰の思考を瞬時に悟った黒子は逃れようとしたけれど、
青峰の膂力は黒子を遥かに凌駕している。
ろくな抵抗も出来ぬまま、あっさりと足を開かれた。

ぴくぴくと震える肉棒へ容赦なく視線を注がれて、羞恥に全身から汗が吹き出した。
恥ずかしい真似をさせられたことはこれまでにも何度かあるし、
肉棒をその瞳に映しだされたことも数え切れぬほどある。
けれど、恥ずかしいものは恥ずかしかった。

「すげぇな、テツ。何度もいかせてやったのに足りなかったか? あん?」
「五月蠅いです。喋らないでください……あ!」

反抗を見せたが、そこを握られて、首筋が甘く痺れた。
せめて声は聞かせてやるものかと、歯を食いしばるが、陥落はすぐそこにあった。
バスケの常識に存在しない型破りで豪快なフォームレスシュートを放つ青峰の手。
憧れ、焦がれたその手にゆるゆると扱かれただけで頭がおかしくなる。

快楽に溺れてゆく黒子だったが、ふと愛撫が止まった。
どうして? 振り返ると、青峰の口元が悪戯に心弾む悪童めいた笑みを浮かべていた。
不吉な予感が過ぎる。

「テツ。オナニーしろよ」

口の端をさらにくっと上げて、歯をみせた。
何を言っているのだろう、彼は。

「テツがオナるとこ、見たことねぇーなーと思って。
それに、さっきやろうとしたんだろ? ここでやれよ、な?」

何を言っているんだろう、彼は。
 
 
「嫌です。そんな趣味はありません」


言葉の意味を得るのに少々時間が掛かった。
絶対に嫌だ。
好奇の視線を受けながら自慰をする自分を想像しただけで死にそうになる。
そっぽを向いて拒絶を示したけれど、顎を掴まれて力任せに仰がされた。

「オレの誕生日。って、痛ぇ!」

人相の悪い顔に意地の悪そうな笑みを滲ませる青峰へ拳を振り下ろした。
祝ってやりたいけれど、いかがわしいリクエストならお断りだ。

「何すんだよ! オレの誕生日だろ!」
「そうですね。おめでとうございます!」
「プレゼントっ!」
「知りません!!」
「くれるって……」
「知りません!!!」

そっぽを向いたら、骨ばった指が無理やり視線の方向を変えた。
背けようにも節くれだった指がそれを許さない。
力の差を見せつけられた気がして、腹が立つ。

「どうした? テツ君」

勝ち誇った態度が気に喰わないから、腰を捻って顔面にイグナイトを飛ばした。
けれど、同じ手は喰らわないと言わんばかりに、青峰はひらりと回避してしまう。
攻撃対象を失った腕ごと抱き締められ、
あっけに囚われているうちに青峰に唇を奪われた。

「へへ。もーらいっと」

屈託ない笑み。
とても悔しいけれど、愛おしいと思ってしまったから

「君には敵いませんよ。青峰君」

額にそっと口づけをした。











-End-

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